来るリリースに向けた変更点で大きいのは、やはり 1.9 までとの非互換性です。具体的には
- ブランチ指定なしで git push した場合のデフォルトの挙動が 'simple' になった
- サブディレクトリで git add -u または git add -A したとき(pathを明示的に指定しない場合)、ツリー全体が対象になった
- git add <path> したとき(<path>を明示的に指定したとき)の挙動が git add -A <path> と同じになった
1番目はすでにいろいろなところで記事になっていて有名ですね。私としてはブランチ指定なしのpushをあまりしないので、特にどちらの挙動が便利という感覚はありませんが、simpleのほうが安全なデフォルトだと思います。
2番めは git commit などの挙動との一貫性という意味で、より統一された挙動になっています。
3番目はファイルを削除したあとでそのファイル削除をステージしたい場合、 git add <削除したファイル> とする(あるいはそれを含むディレクトリを指定する)だけで削除をステージできます。これまではgit add -A <削除したファイル> とするか、 git rm <削除したファイル>が必要でした。
ステージングには git add <path> だけで対応できるようになり、 git addはより「ステージングのためのコマンド」という性格が強くなったようにも思います。
削除だけではなく 非追跡ファイルも追加される、という点には注意が必要ですが、そうしたくなければもともと -u オプションがあるわけですから、特に先入観のない初心者にとって受け入れやすい挙動になったのではないでしょうか。
コマンドやオプションのややこしさを指摘されることもあるGitですが、今回のような非互換性を伴う変更を乗り越えて改善を続けており、今後の進化も期待が持てます。
なお、今回の非互換性の導入については、2.0での変更に向けてかなり以前から関係する挙動に警告を表示するなど、既存ユーザに配慮した移行がなされました。これは1.6の頃に非互換な変更を導入した際の反省に基づくものだそうです。
他に1.9から追加された機能で個人的に気になるものとしては、
- git rebase で '-' が '@{-1}' なブランチ名として解釈されるようになった(タイプ数が減るのは嬉しい。)
- git config で --file - を指定すると値を標準入力から読み取れるらしい(スクリプティングなどで使う機会があるかも?)
- git commit 時に常にGPG署名するための設定 "commit.gpgsign" が追加された。(これが必要な環境ってちょっと怖い。毎コミットについて改ざんも否認もできなくなるので嬉しいシチュエーションもありそう)
- "pull.ff" 設定で pull --no-ff や pull --ff-only をデフォルトの挙動にできる。(ff-onlyは非メンテナ作業時 = ほとんどの場合に便利)
さて、このまま大きな不具合などがなければ5月の中旬から下旬あたりには 2.0 正式リリースになると思います。今から楽しみですね。
0 件のコメント:
コメントを投稿